魔笛 | TOTAN オススメ本

魔笛

           魔笛 

ミヒャエル・ゾーヴァ (画) 那須田淳 (文) 講談社 ¥2100 (税込)

『ミヒャエル・ゾーヴァが舞台美術を手がけた
モーツァルトの「魔笛」が、ドイツのフランクフルト歌劇場で
はじめて上演されたのは、1998年10月のことだ。
~中略~
この絵本は、そのオペラのためにゾーヴァが書き下ろした
原画を使い、物語化したものだ。』    (あとがきより抜粋) 

モーツァルトのオペラ「魔笛(まてき)」。
タイトルは聞いたことがあっても、なんとなく近寄り難いなとつい敬遠しがち。
ところがこの本は、びっくりするぐらいオペラらしくない「魔笛」です。

ストーリーもせりふも小道具も変わっていないのに、
オペラの「魔笛」とは全く違う味わいになっていて、

「魔笛」を観たことのない人にも、「へー、こういう話だったんだ-」と
入りやすく、純粋に物語として楽しめます。

「魔笛」ファンの人には、「えー!?こんなのあり!?」と
驚きをもって読み進んでいただけると思います。

私は最初ゾーヴァの絵が好きでこの本を買ったのですが、
読んでみるとストーリーに考えさせられるところも多く、
大人向けの絵本としてとても読みごたえがあります。
息もつかせぬ展開と、冷たい水の中を進むような緊張感は、
「魔笛」を観た事がある方もない方も一読の価値あり。

絵本として読んだ後、本当に舞台が見てみたい、と
思わずにはいられません。


追記
 読んでいるときの空気感が、ミヒャエル・エンデの
 「ゆめくい小人」にそっくりです。 あの本が好きな方はぜひ。
 この本に興味をもたれた方は、「ゆめくい小人」もぜひ手にとってみて
 くださいね。

さとこ