橋の下のこどもたち | TOTAN オススメ本

橋の下のこどもたち

            橋の下のこどもたち

ナタリー=サベッジ=カールソン(作) なかがわ ちひろ(訳) 
ガース=ウィリアムズ(画) フェリシモ出版 ¥1300(税込)
   対象年齢 小学校一年生以上~大人まで

もう何十年も働かず、一人橋の下で気ままに暮らすアルマンじいさん。
彼の暮らしはとても自由で、貧しくても楽しみに満ちています。

いい気分のある日、引越し途中のアルマンじいさんは
知り合いのジプシーに出会います。ジプシーが子供たちの話を出すと
「こどもか!いやはや、がまんならん」。
顔をしかめるアルマンじいさんに、ジプシーは言います。
「いいや、ちがう。あんたは、こどもがきらいなんじゃない。
こわいんだよ。あんたは、あったかい心のもちぬしさ。それに気づいた
こどもたちが、あんたの心をぬすみにくるのがこわいのさ」。

アルマンじいさんがパリの橋の下のなじみのねぐらへと乳母車を押して
いくと(彼は身の回りのものを乳母車に入れて運んでいます)、
いつもの場所には誰かいるようでした。
怒ったアルマンじいさんがなかをのぞくと・・・


パリの街の人々、ジプシーたち、家のない人々。
この本の中では、それぞれの人たちがそれぞれしっかりと生きています。
人種や暮らしではなくしっかりと人を見ること、
お金ではなくて本当に欲しいものは何かなど、
さりげなくちりばめられた問いかけが、
この物語をただの「いい話」以上のものにしていると思います。

本当は抜粋して紹介したい良い言葉がいくつもあるのですが、
他の方の読む楽しみのために書かないでおきます。
ほんとに言いたい・・・。もごもご。

一年生にも読める易しい表記のさらりとしたストーリー、
大人も考えさせられるアルマンじいさんのいろいろな言葉。
この本が44年間も愛されつづけていて、リクエストによって復刊された
というのも読んでみると納得できると思います。

長い人生の間に、どこかで一回は読んでみて欲しい本です。

さとこ