カンガ・マジック
ジャネット・ハンビー(著) デビッド・バイゴット(イラスト)
Jeannette Hanby (原著) David Bygott (原著)
カンガ愛好研究学会 (翻訳) ポレポレオフィス ¥1200(税込)
この本を最初に見た時の感動は今でも忘れません。
絵の斬新さにめちゃくちゃ惹かれたのでした。
「カンガ」という言葉に馴染みのない方も
いらっしゃると思います。
「カンガ」とは19世紀中頃に東アフリカの
女性たちの間で広まっていった「布」です。
今では世界中の人々に親しまれています。
特徴としてはタテ110cmヨコ150cmを
基本とする綿素材の長方形の布であること。
原色を多用しそのデザインは数えられないほど。
日本でいう「ふろしき」に近いかもしれません。
身にまとうだけでなく荷物を運ぶ、部屋に飾る
ベルトにする、水着にする、などなど
一枚だけではなく何枚も組み合わせたりして
いろんな使用法がある布なのです。
一枚一枚スワヒリ語での「ことわざ」が書かれています。
(「才は財なり」「汝の敵を愛せよ」など)
日本でも雑貨屋さんで置いてるお店はあるので
手に入れることもできます。(TOTANにもあります)
カンガに限っては新品よりもユーズドが好まれるようです。
その理由は「デザインが昔のものの方がいいから」
らしいですがそれは好みによるでしょう。
だいたい¥3000~くらいのお値段です。
さてさてその「カンガ」ですがこの本では101の
使い方を面白いイラスト付きで紹介しています。
この本の面白い所は「モデル」にも伺えます。
以下は本文からの抜粋です。
『ここでカンガを着た二人のモデル、レヘマと
セレスティアナを紹介しましょう。セレスティアナは
スラリとしたファッションモデルです。背も高く
身のこなしもエレガントです。レヘマはどちらかというと
現実的な体型の持ち主で、背は低くガッチリ型。』
わざわざ体型の異なる二人をモデルにする本って
よくできてるしおもしろすぎる。懐が広い感じ。
この本の面白い所は最初のうちはごく普通の着方を
紹介しているけれど後半はちょっと無理矢理?な
感じで強引に(でもおもしろく)紹介していくところ。
みなさんもご存知の「パレオ」のように
お風呂上りにバスタオルをまとう形と同じで
スタンダードなワンピーススタイルから今度は
下半身のみをパレオにした「巻きスカート風」になり
しかもその布一枚のスカートにポケットをこしらえ
ターバンになりビキニにもなる。
二枚を使ったセパレーツスタイルから
エレガントなロングドレス、古代ローマの男性が
していた「トガ」スタイルから赤ちゃんの負ぶい紐。
(ここらへんから無理矢理臭くなっていくがそこが楽しい)
赤ちゃん用ゆりかごにビーチマット、カーテンに
モップ(←おかしい)ヨットのセイルに浴衣!
これら全てが「カンガ」の使い方の一例なのです。
カンガの歴史だけではなく絵の面白さと
無理矢理感漂う怒涛のカンガの使用例。
このアンバランスさがなんとも言えない一冊です。
AKANE