サイゴンのいちばん長い日
近藤紘一(著) 文春文庫 ¥500(税込)
ベトナム戦争。
『1960年代初頭から1975年4月30日まで
ベトナムで繰り広げられた南ベトナム(+支援したアメリカ)と
北ベトナム(+支援したソ連、中国)との武力衝突のこと。』
社会科の授業では習ったけど私の生まれる前の戦争だ。
私が「戦争はまだ地球に残ってるんだ」と
知ったのは中学生の頃。湾岸戦争でした。
あの朝の花火のような鮮やかな映像は一生忘れられません。
その日の授業は急遽「なぜ湾岸戦争ははじまったのか」でした。
母は若かりし頃、駅前で反戦フォークを歌いデモに参加し
友人たちと酒を飲みながら語り合うのが好きだったという。
(でも熱烈な反戦家ではなかったのだと思う。)
私が「ベトナム戦争」と聞くとなぜかいつも
今からは想像できないほど若い母がギターを担いで
歩きながら歌っている姿をイメージしてしまう。
鉄腕アトムもドラちゃんも出てくるだろうと
子どもの頃に想像した21世紀。
人類は未だに戦争がやめられないでいます。
今日は別に難しい話とか反戦の話とか
資本主義どうこうとか書こうとは思っていません。
ただ、私は時々無性に戦争物をみたくなるのです。
映画と本くらいしか知識は拾えないけど
とにかく物凄く戦争を題材にした「人の作ったもの」を
読んだり見たりしたくなるのです。
軍需マニアでは無いし血とか爆弾とかに
ウキウキする訳じゃないし楽しくて見ている訳ではなくて。
何かに操られているのか
それとも私のM性からなのか(笑)
別に「人類の愚かな所」を見たい訳でもなさそう。
(↑自分のことなのに理由が曖昧)
だけどなんとなくだけどそういう時は
「見なきゃ」というのにとても似た気持ちに
なっていることは確かです。多分なってる。
へんな責任感なのかな。
いや、多分「戦争」も含めて人間がしてきたことや
しでかしたこと全てが、私にとっての面白さなのだ。
不謹慎に聞こえるかもしれないけれど
私は知りたくてたまらない。
痛みや怒りや悲しみや喜びが。
人間の義務とは言わないけど(←何様だよ、になっちゃうから)
忘れてはいけないことってある。人間のルールとして。
この本は近藤紘一さんが見た「事実」だ。
『一国の首都陥落前後という決定的な時期が日を追って
克明に記されている。それ自体が貴重な記録であることは
いうまでもないが、登場人物たちの生彩がそれにまたとない
肉や果汁や香りをつけている。それがユニークな一滴の光である。』
開高健 ~ まえがきより抜粋 ~
86年、近藤さんは亡くなられています。
私ももっと彼の目撃した様々な事を読みたかった。
人間には寿命があるから
人はどんどん忘れていくから
だからこそ「本」はあるのだと思います。
AKANE