インドの大道商人 | TOTAN オススメ本

インドの大道商人

            インドの大道商人

●インドの大道商人●
山田和(著) 講談社文庫 ¥1200(税込)

文庫なのに千円を越してるその訳は読めばすぐにわかります。
そう、この本は写真が物凄く充実しているのです。

写真家でもある山田和さんが1979年から11年間の間に
行った大道商人へのインタビュー300件の中から選ばれた
110件が写真とともに掲載されている本です。

エスニック雑貨店店主のくせに私はインドへ行った事が
ありません。だからかインド関連の書物は今や本棚の半分を
占めているという事態になっています。早く行きたい・・・

インドには耳掃除屋がある

インド通でなくてもTVなどでご存知の方も
多いのではないでしょうか?

私にとって未知の国であるインドには
想像を遥かに超える職業がたくさんあるのです。

◇木の葉のお皿売り
◇手作り香水売り
◇時計の防水加工士
◇針金細工売り
◇錠前屋
◇代書屋
◇蛇使い
◇手品士
◇洗濯屋
◇アイロンがけ屋
◇マッサージ屋
◇歯ブラシの木売り
◇サンダルの鼻緒屋さん

これらは全て路上の「大道商人」です。
つまり青空商店なのです。

一度でもインドに行かれた方には懐かしく
私と同じにまだインドに呼ばれてない方には
とても奇妙で興味深いのではないでしょうか。

驚くべきことに歯医者さんまでもが路上にいます。

以前バンコクへ仕入れに行った時のことですが
日本に帰ってきた私は安堵と共に
とてつもない違和感を感じました。

路上がきれいなこと。

綺麗といっても放置自転車やゴミはあります。
人だって行き交うし活気が無い訳ではありません。

どちらかというと「キレイ」よりも「つまらない」と
言ったほうが的確かもしれません。

バンコクだけでなくインドもその他アジアや
世界の多くの国々には「屋台」があります。
(規制されてしまった国もありますが)
もしくはマーケットと呼ばれる市場が。

日本で路上に屋台が現れるのはお祭くらいでしょうか。

生活や文化の違い、と言ってしまえばそれまでですが
バンコクの路上はまるで毎日がお祭みたいに
私をワクワクさせてくれました。

話は戻ってインドです。
インドにはご存知の通り「カースト」があります。
国家としてはカースト制度の一部を
廃止したという事ですが旅好きな友人たちに聞くと
「実際にはまだまだある」とのこと。

そう、カースト制度にはインドの人々と
切っても切れない根強い関係があるのです。

この本には大道商人とカースト制との関係、
そして300ものインンタビューの裏話や
そこから見えてくる人々の暮らしと生き様も
彼の鋭くて温かい視線で描かれています。

インタビューの謝礼を一切しないことで
ウソの無いほんとうの姿をカメラに収めたという
とても貴重でとても面白い本になっています。

いつかは私もインドへ・・・
店主の「インド本集め」は終わりません。

※「ノン・フィクション」か「フォト」か迷いましたが
独断で敢えて「旅本」に入れさせて頂きました。

AKANE