雪のひとひら | TOTAN オススメ本

雪のひとひら

           雪のひとひら

●雪のひとひら●
ポール・ギャリコ(著) 矢川澄子(訳) 新潮文庫 ¥460

世界の三大ポールと言えば

◇ポール・オースター
◇ポール・ギャリコ
◇ポール・牧

ですが(ツッコミ大歓迎です)
その中でもおとぎ話のような温かくて
ほんのりせつないお話を書いているのが
今日ご紹介するポール・ギャリコです。

この本との出会いは私が中学生の頃に遡ります。

私は先生に恋をしていました。
私の学校には図書館があって(図書室ではなく)
トトロとちーちゃんという二人の司書さんがいました。

ある日の午後、恋する乙女だった私は
(やることもなく図書館をふらついてただけ)
何か心がほっこりするような本はないかな?と
ちーちゃんに相談しました。

その当時の私が読むものといったら
ミステリーと漫画がほとんどで
(赤川次郎とか内田康夫とか)
演劇にハマっていたこともあって古本屋で
戯曲を探すのが趣味だったような子どもでした。
(今思い出したけど大好きな山田詠美もトトロから
薦められたんだった・・・ありがたいことです)

そんな中ちーちゃんからオススメされたこの本は
外国人作家ということもあり読み始めるのに
ちょっと苦労したことを覚えています。

季節や空気を感じながら
旅をする雪のひとひら。

無理矢理ぎゅうぎゅうに押し潰されて
ゆきだるまの一部にされた時は
なぜ自分がこんな目にあうのか訳もわからず
悲しみにくれてしまったり。

自分をつくりだしてくれた
どこかの誰かへの深い愛。

自分はなぜ生まれたのか。
そしてどこへいくのか。

女の一生を描いたとも言われるこの作品。

おとぎ話のようだからって油断は禁物です。
読者の多くはこの本の端々で
リアルな現実と直面することとなるでしょう。

ひらがなが多いので小学生位からでも読めると思います。

バレンタインの夜、本を読みながら過ごすのも
悪くないなぁって思ってもらえたら嬉しいです。

AKANE