お気をつけてよい旅を! | TOTAN オススメ本

お気をつけてよい旅を!

            お気をつけてよい旅を!―日本人女将インド安宿繁盛記

●お気をつけてよい旅を! 日本人女将インド安宿繁盛記●
モハンティ三智江(著) 双葉社 ¥1575

外国で生活をすることは私の憧れだ。

実際に身近に海外生活をしている人がいるし
TVなどでそういう番組を見ると心が躍ります。

留学も含めて私には未知の世界である「外国」。
「旅行」ならまだしもそこで「生活」するという事に
口では言い尽くせない程の苦労があることは
なんとなく想像していた私ですが、この本を読んで
その大変さ、そして楽しさを再確認することができました。

1981年8月。彼女がフリーのライターをしていた頃に
初めてインドを訪れた所からこの本は始まります。
今の私と同じ歳に彼女はインドへ「呼ばれる」ことになった。

当時、ホテルのマネジャーをしていた彼との
結婚までのこと、自らがホテル経営をしようと思ったキッカケ
女将を始めてからの苦悩と、宿泊客や経営にまつわる人間関係
「インド人」と「日本人」の根本的な違いなどなど
とても普通では経験のできないような出来事の嵐。

この本の良い所は「いいところ」ばかりを書いてはいない所。

オフシーズンの客がまったく入らない時のこと
経営に関する色々、インド人との仕事のこと(工事など含めて)
とにかく彼女の身に起こった事を正直に書いているのだ。

それは読み進めていく内に誰しもがわかるはず。

『私のルーツは結局日本人、
何十年インドに住もうとも
決してインド人にはなり切れずに、
日本人としての業を抱えたままに、
ときにインドとのギャップにあがきながら
暮らしていくことになるだろうと、
諦観にも等しく悟り切っていた』

これはインドに暮らして12年目の彼女の言葉だ。

同じ「経営者」という観点からも勿論、物価や
文化や年代やいろんなものは違うのだけど私は
なんだか他人事とは思えず親近感を持ってしまった。

そして勿論、海外で生活する三智江さんへの
強い尊敬と憧れ、今の自分と理想の自分とのズレも。

後半は彼女の覗いたインド、として
インド旅行の際の気をつけたいあれこれや
様々なインド情報が掲載されている。

私がもしインドに「呼ばれる」時には
ぜひ彼女に会いにいこうと思っている。

そしてお酒を飲みながら旅人である私に
いろんなお話を聞かせて頂こうと思っています。

前にも書きましたが単なる「成功本」ではなく
失敗もある「成功本」からは私はパワーをもらうことが
できると思っています。共感の多さとか。

この本も私の血となり骨となってくれている大切な一冊です。

旅に出る全ての人に私からも・・・
「お気をつけてよい旅を!」

AKANE