アジアの民話
●アジアの民話●
キャシー・スパニョーリ(著)
北島義信 高垣友海(訳) 同時代社 ¥1680
※画像がAmazonに無い場合は↑の著者名にリンクして
ありますので詳細はそちらでご確認くださいませ。
この本との出逢いは一軒の古本屋さんでした。
私にとって古本屋さんとは知識の泉であり
ディズ○ーランドのようなドキドキワクワクの国です。
この本に掲載されているアジアは以下の通り。
ラオス/日本/インド/朝鮮/マレーシア/ネパール
ベトナム/カンボジア/フィリピン/パキスタン
バングラデシュ/中国/チベット/スリランカ/ビルマ
※「朝鮮」や「ビルマ」と表記がなっているのは
古い話が多い「民話」なので線引きが難しいからなのでは?
と読み手である私は思いました。他意はないようです。
民話や昔話というとやはり「教訓を含んだもの」や
子どもたちに楽しみながら(また、怖がらせながら)
その地域の常識や物事を理解させていく方法の1つでもあります。
ですがこの本は大人が読んでも面白い。
(この本は一応大人向けに作られていますが)
ヤマンバや神様、そして王様や旅人が出てきます。
それはとてもお伽話的なのですがそのどれもが
現代に置き換えて考える事ができるお話なのです。
歴史や教科書に載らないこういうお話を後世に残す
仕事って人間そのものを育てているなぁと思います。
中から少しだけ抜粋を。
『 すべてにおわす神 -インド-
昔むかし、聖なる山の頂きに暮らす神ガネーシュ
(ガネーシャ)が庭で遊んでいました。
家の近くでは母親のパルヴァティが夕食を用意していました。
ガネーシュは退屈をもてあましていたので、子猫をつかまえて
いたずらをしていました。子猫は悲しげな鳴き声をあげましたが
ガネーシュはなかなかやめてくれず、しまいには子猫を放り投げたり
振り回したりして遊びました。ガネーシュがようやく飽きて子猫を
離そうとしたとき、誤って子猫の顔をひっかいてしまいました。
家へもどったガネーシュは、母親が顔に傷を負い、
血を流しているのを見ました。
「いったい誰がお母さんにそんなひどいことをしたんですか?」
怒りをまじえ、ガネーシュは尋ねました。
「今すぐ仕返しをしてきます、もう二度と
こんなことはさせないぞ、させるもんか」
「いいかいガネーシュ。この傷はお前がつけたものなのだよ」
母親は悲しげに答えました。
「ぼくじゃないよ。そんなことしていないよ」
びっくりしたガネーシュは言いました。
「おまえはは私を傷つけていたことがわからなかったのだね」
母親はやさしく言いました。
「いいかい、おまえが庭であの子猫をひっかいたときに
わたしの顔にも傷がついたのだよ。自然に生きるもの、
たとえそれがどんなに小さな生き物でも、おまえがそれを
傷つけるということは、わたしを傷つけていることと
同じなのだよ。だからこれからは気をつけなさい」
(原作者注):すべての生きとし生けるものに対する
非暴力と慈悲の心は、アジアの信仰のなかで生きている。
この短い話において、女神パルヴァティは
すべての生き物を結びつける輪の中心である。
』
・・・こんなに抜粋して怒られてしまいますねきっと。
アジア各地の人々とその土地に根付いた宗教や
生活習慣、教訓、文化などが一話ごとにうかがえます。
旅に出てその土地の人と仲良くなったら
小さい頃にしてもらったお話なんかを聞いてみたい。
きっとその旅はもっと素敵な旅になる予感がします。
そして毎度毎度書いてることですが
違う、から面白い。
似てる、から楽しい。
私の全ての基準はここにあるように感じています。
子どもと一緒にこういう本を読む母に
いつかなる日がくるのかな・・・。
AKANE