水木しげるの妖怪探検-マレーシア大冒険- | TOTAN オススメ本

水木しげるの妖怪探検-マレーシア大冒険-

           水木しげるの妖怪探険―マレーシア大冒険

●水木しげるの妖怪探検 -マレーシア大冒険- ●
水木しげる(絵) 大泉実成(文) 講談社文庫 ¥730

また妖怪話でごめんなさい。
最近特に好きなのよね妖怪が。

雑貨と妖怪には実は切っても切れない関係があります。
なんていうとコジツケのようにも取れますが・・・(笑)

以前ここでオススメした水木さんの本とは違い
今回ご紹介するこの本は大泉実成さんという方が書いています。
(まえがきで水木さんは「大泉ナニガシ」と呼んでいます)

マレーシアの先住民族セノイに会いに行く為に結成された冒険隊。
水木さんはこの旅行当時72歳だったというから驚きです。

セノイは独自の「夢見の方法」を持っているとのこと。
今や日本ではうらないブームでネット上でも「夢判断」などが
さかんですがセノイの場合はこの「方法」で精神的な健康を保ち
平和なコミュニティを作り上げているのだそう。

大泉さんはルポルタージュ作家として今までに
様々な分野のご本を出版されている方でセノイの
「夢見の方法」夢見論についても研究されている方。

この本では「どうして水木さんと冒険することになったのか」
「水木さんの奇怪ぶり」「水木さんと妖怪とアニミズム」
「先住民の生活と文化」などなど水木ファン以外にも充分に
楽しめる内容になっています。(水木さんのヌード有り!笑)

「世界には千の妖怪(妖精・精霊)がいる」と仮説をたて
セノイやジャ・フーの人たちと妖怪話で大盛り上がり。

水木さんの描いた妖怪を見せると人々はこう言うのだ。
「あ~これも見た事あるよ」

ノーベル妖怪賞をぜひ水木さんに!と
楽しみながらも翻弄される大泉さんと取材班。

シャーマンに会って儀式に立ち合い突如踊り出す水木さん。
素っ裸で行水する水木さん。辛い物を食べて身体で表現する水木さん。
何体もの精霊像を見極め次々と大人買いしていく水木さん。

そう、ここでやっと「雑貨」と「妖怪」の関係が出てきましたね(笑)

精霊像を手彫りする人々は精霊のお告げによって
その像を作り、病気や災いから守ってもらうのだと言います。

お守りや祈りは文化や生活の違いは
あっても世界中に共通するもの。

『 科学と合理主義の社会に生きていると、
  時にココロが疲れ果て、めげてくる時がある。
  そんな時、セノイが教えてくれたように、
  自分の中の妖怪たちとうまくつきあうことが
  できると、ココロが元気になってくるのではないか。 』

妖怪の筆頭のような水木さんにただただ驚かされ、そして
なにより水木さんの言葉についつい笑顔になってしまうのです。

大泉さんの驚きや水木さんへの思い、
セノイや妖怪、自然への気持ちが伝わる素敵な本です。

今の日本に必要なのは妖怪なのかもしれない・・・
ココロの中の妖怪と会いたい人はぜひ読んでみて下さい。

AKANE