葉っぱ | TOTAN オススメ本

葉っぱ

            葉っぱ

●葉っぱ●
銀色夏生(著) 幻冬社文庫 ¥560

私が銀色さんを知ったのは13年前。
中学生だった頃の私に銀色さんを教えてくれたのは
そう、私にとって今も大切な存在のさとこだった。

私は詩や散文が好きだ。
言葉は少ないのに読み手の想像力も加算されるから
長編小説にもドラマや映画にも負けない力がある。

読み方が自由なのもいい。

ただ言葉を素直に受け取るのもいいし
その言葉から連想(回想)されるモノに繋げてもいい。

だから文章に余裕を持たせてある気がするのだ。
読み手の気分やその日の体調次第で印象がクルクル変わる。

それは詩の読み方として間違っていると言われてもいい。
私は私の方法でしか「言葉」を受け取れないのだから。

余談だが、私の母校では入試に国語と算数のテストと
面接、授業を受けての感想文の他に「表現」がある。

体育だったら「マット運動」
音楽だったら「歌」
美術だったら「絵画」

そんな感じでそれぞれの科目ごとの「表現」を
受験者はどれか1つ選ぶことになっている。

私は国語の「朗読」で入試に挑戦した。
(星野富弘さんの詩でした)

入試のどこで私が評価されたのかはわからないけど
私は無事に母校、自由の森学園中学校に入学し
そのまま高校も飯能の山奥にある学校に進学した。

「学習発表会」という学期末の節目にある
生徒主体のイベントがあるのだけどそこでも私は
「朗読」を自ら選んでいた。今思うと少し不思議だ。

なんだってそんなに「詩」ばかり読んでいたのだろう。

話を元に戻して今日オススメの銀色さんの「葉っぱ」。

銀色さんは写真家でもあるから今まで出版された
本の中にも詩+写真という構成が多い。

タイトル通り銀色さんの目に映る葉っぱを
写真と文章で切り取った本なのだけど
その詩と写真を読み進めていくうちに
心がスッとなっていく感覚を味わう事ができる。

それは冷めていくとか覚めていくとかそういうのとは違う。

寒い夜の遅くまで職場に残業して
一人で会社(店)を出たその瞬間に似ていると思う。

つい今しがた振り出した冷たい雨。
無機質なモノたちと自らを縛り付ける何者かからの開放感。

冷たい空気が肺まで落ちてくる感じ。
でもそれはすぐに温かい息になってまた外へ吐き出される。

詩を読むのは歩くのに似ている。

駅までの道のりを自分のペースで歩き出す感じ。
自分の靴音と時々すれ違う車のシャーッという音を感じながら
右、左、右、左、右、左、右、左。

目から入る情報と脳みそを流れる記憶とのせめぎあい。
アスファルトに張り付いた落ち葉。

人間は誰もが詩人だと思う。
そして言葉とは本当に偉大な発明だと思う。

またまた余談だが私は某SNSで
「ポエムポエマーポエミスト」という
コミュニティ(小さな掲示板のようなもの)を作った。
何もかもが間違っちゃってる感じの
「飛べない小鳩」たちの為の止まり木。

そこは主に「恥ずかしい詩」を披露する場なのだけど
バカにするでもなく批判するでもなく「恥ずかしさ」を
純粋に楽しむ為の小さな小さな居場所だ。

恥ずかしい詩と秀逸な詩は紙一重なのだけど
「きゅぅぅぅぅっ!恥ずかしいっ!!!」という
詩ならではの感動を楽しむのが目的だ。

読み手の体調や気分でクルクル表情を変える詩たちは
私の生活を時々リセットしてくれる。

詩の世界は広くて深い湖みたいだと思う。

私がこんなにも詩を好きになったキッカケの人、ありがとう。

[今回「余談」多すぎですね。ちょっと反省。しかし今、手元に
ある詩が少ないので実家から持ってこようと改めて思っています。]

AKANE