ばかのたば | TOTAN オススメ本

ばかのたば

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●ばかのたば● わかぎ えふ(著) 集英社文庫 ¥500


なんともおめでたいこの表紙。
さすがえふさんです。

※えふ→ゑふさんというのが正しい表記のようですが
本からの情報を元にしているので敢えてそのまま明記します。

昨年お亡くなりになられた中島らもさん。
彼の元秘書であり芝居仲間であり女優であり
演出家であり劇作家であり作家であるえふさん。

えふさんはリリパット・アーミーⅡの主宰でもあります。
(名前が変わっていたのは知りませんでした。
遠い昔にTVで放映されてたのをビデオで観たことがあります。)

えふさんのことはチラチラと知っていたのですが
実は初めて彼女の本を読みました。

最初に出版されたのが1995年。
文庫化されたのが1999年。

それなのに年月を感じさせることの無いこのバカさ加減。
めちゃくちゃかっこえぇ~です!見事な女っぷり!!

TOTANオススメ本BLOGを読んで下さってる
一億数十万人の奇特な方々の男女比はどれくらいなのか
私にはわかりませんが、この本は老若男女問わずに
読んで頂きたい一冊として今日はご紹介したいと思います。

私は常日頃から『「オモシロイことをする人」が面白い』
ではなくて『「フツーの人を面白いと感じられる人」が面白い』
そう思って毎日を生きています。(大袈裟か)

例えば多分、会社や学校や家庭内でまわりを見渡すと
信じられないようなドジをする人や
奇行や奇声(雄叫びではなくて)を発する人というのは
みなさんも実際には頻繁に目撃していると思います。

人によってはその「奇人」のせいで
毎日の出勤や通学が苦になってしまったり
その「奇人」によって迷惑を被ったり
時にはその「奇人」を憎むことさえあるかと思います。

だってその「奇人」さんは自分では
まさか自分が「奇人」だと思っていないのですから。

そんな訳で世の中にはイライラさせられるバカな人(私)や
何度も同じことを聞いてくる物覚えの悪いバカな人(私)や
はたから見ればあきらかにバカな人(私)というのは
意外にたくさんいるもので石を投げれば必ず当たります(私)。

そんなごくフツーに世間に蔓延っているおバカさんに
スポットライトを当てられる人というのが先程書きました
『「フツーの人を面白いと感じられる人」』たちです。

えふさんのまわりは確かに演劇関係者が多いだろうから
私もかつては「演劇かじった関係者」のはしくれなので
どれだけ異常な世界の住人が多いかはなんとなく想像できます。

だけどそれは「特殊」ではないのです。

アナタのまわりの「奇人」さんや「おバカ」さんも
くくってしまえばただのばか。いえ、ばかのたば。

イラつかせるおバカさんも、
がっくりとうなだれてしまうようなおバカさんも
きっとアナタの考え方一つでアナタだけの
素敵なパラダイスの住人になってくれることでしょう。

あ、また本の内容を全くお話していませんでしたね。

この本にはえふさんの身近なおバカさん(女性が多い)や
えふさんの耳に入ったおバカさん情報が満載です。

そしてアナタのまわりのおバカさんを好きになれる一冊です。

読んでいて「あっはっは~っ!」とどれも本気で
大笑いしてしまう本なのですが
中でも特に気に入ってしまったエピソードは

◇哀れなルージュ

というタイトルのお話。

えふさんの知り合いのそのまた知り合いのMさんという
『容姿端麗、才女で結婚式のスピーチで褒め称えられる女』。
そんな彼女がバスの中で口紅を直すことから
おバカ人としての人生が始まってしまう・・・

ま、だいたい「乗り物の中での化粧」というのは
眉毛が極太に・・・!とかアイライナーが眼球に・・・!とか
口紅が鼻の穴に・・・!とかそういう話であることは
ご想像できると思います。だがしかし。

確かにこのお話の中盤は上記のどれかです。
(タイトルに「ルージュ」ってバリバリ書いてあるし!)

そんなとこ(オチ)で終わらないのが
この本の最大の魅力と言っても過言ではありません。

さてさて東大出の才女Mさんはどうなってしまうのか。

書きたいです、ものすごーーーーーく。
だけどここで書いたらそれこそバカというもの。

なので続きはお手元のご本でお楽しみ下さいませ。
多分、損はしないと思います。
アナタが『「フツーの人を面白いと感じられる人」』なら。

なんて書き方しちゃうのってズルイですよね。
でも今日はちょっとイジワルな気分で終わりたいと思います。
昨日のエイプリルフールにこのBLOGでやりたかった企画を
できなかった腹いせです。(誰に?)

企画というのは事前準備が本当に大切だと痛感致しました。

そんな訳で久々のTOTANオススメ本BLOG更新でした。
「積ん読」がわんさか増えています。
お母さんもう食べられないよぅ・・・ムニャムニャ。

AKANE